運命とは、宿命とは

いきなりですが、宿命と運命について考えたことありますか?

 

宿命とは、

「自分では変えることの出来ないもの」

 

運命とは、

「自分で変えることの出来るもの」

 

こんな風に言えるかなって思います。

 

今年の初め、あるTVのこのフレーズに出会いました。

「四百年の宿命と背負う男」

その男とは、樂焼十五代樂吉左衛門さん。

 

ルーツである初代長次郎が、

かの茶の湯の大家千利休の思想である「侘(わび)茶」に影響されて、

四百年前にその千利休の依頼で作った『樂茶碗』。

それまでの煌びやかな茶道具とは違う、

土そのものの質感を基調とした作品は、

その後の日本人の美意識さえも変えてしまうほどの衝撃を、

もたらしたとされています。

 

その楽家に生まれた今の十五代樂吉左衛門さんは、

生まれた時から四百年の宿命を背負うことが決まっていました。

 

変えたくても変えようが無いこの事実を前に、

吉左衛門さんは二十代までは陶芸の道に進む気持ちを固められなかったようです。

 

それが海外に出て、有名な多くの芸術に触れることで、

改めて日本の文化である茶碗というものに価値を感じ、

帰国後作り始めたということです。

 

「宿命を受け入れ、運命を切り開く」

 

その瞬間だったのでしょう。

 

私たちは四百年ほどではないものの、

何らかの宿命というものは、

人生の中で背負い、

起こることなのです。

 

それは避けられないけれども。

 

自分の人生は全て決まっているわけではありません。

 

そこから、どう自分の意思と行動で切り開くか。

 

私は名工と言われたジュエリー職人を父に持ちました。

 

天才と呼ぶにふさわしいその存在は、

この世から旅立った今でも、

自分の宿命として背負って行かざるを得ません。

 

一時は軸を失った気持ちになり、

どう進んで行くか全く選択できなかったのですが。

 

悩んだ末に、気がついたのです。

 

「宿命を受け入れ、運命を切り開く」

 

それが人生を生きるということだと。

 

運命は、私たちの選択によって大きく変えることが出来るのです。